誰でも簡単に使える非接触ICカードですが、少し使い方を間違えると誤作動を起こします。
使う側の人為的ミスの場合もありますし、システム自体の固有の問題による場合もあります。
いろいろな要因が重なって改札エラーが発生するので原因をひとつに特定するのはむずかしいのですが・・・。
■2枚以上のICカードがある場合、どちらのカードで認証・清算するのか判断できない。
■2枚以上のICカードがある場合、干渉し合い必要な電圧を確保できない。
■リーダー・ライターから発生する磁界が周囲10cm程度しかないため、カードが少しずれたら読み取れない。
■磁界の中でICカードが動いていたり、カードが滞在する時間が極端に短いとデータのやり取りが行えない。
(このためにタッチ&ゴーが推奨されています。)
■ICカードに金属質が接していると磁束を利用しての起電力が得られず通信できない。
■ICカードがリーダー・ライターにあたる角度が適当でない。
などをはじめいろいろな理由が考えられ、これらのうちひとつあるいは複数の原因が重なった場合に改札エラーが発生し、改札を通れないという状況になります。
ただし、
IC乗車券が2枚以上重なっている場合は、それだけで改札を通過することができません。
※参考までにJR西日本の「ICOCA(イコカ)」使用時の注意書きをご紹介します。
◆ 他のICカード(“Suica”などの鉄道用ICカード、ICテレホンカード、 電子マネー用カードなど) | ||
上記のように、他の非接触ICカードをパスケースの中に同時に入れないように明確に記載されています。
そして、JR西日本以外の交通機関でも同じような方針で運用しています。
さらに詳しく説明をしますと、
通常、非接触ICカードが改札リーダーの読取範囲内(磁界内)に2枚存在すると、コイルアンテナが二つになることで起電力が減衰し、ICチップが交信するために必要な電圧が確保できなくなります。
しかし、交通系のICカードはサイバネ規格により複数重なっても使用できることが条件として定められているため、ICカードが3枚程度なら重なっていても起電することができる設計になっています。
では、なぜ改札エラーが起こるのでしょう?
そこには、相互利用が引き起こす改札エラーの原因がありました。
ちなみに、同じフェリカのシステムを使った電子マネーの「Edy(エディ)」や「nanaco(ナナコ)」は、現在、JRの改札では使用できませんので「Edy(エディ)」と「Suica(スイカ)」、あるいは「nanako(ナナコ)」と「ICOCA(イコカ)」を重ねても改札エラーは起きません。なぜなら、改札リーダーがどちらのカードが利用できるかを認識し、判断しているからです。
これが、相互利用可能な「Suica(スイカ)」や「PASMO(パスモ)」が2枚ある場合や、「ICOCA(イコカ)」と「PiTaPa(ピタパ)」では問題が発生します。改札リーダーはどちらのカードも利用可能なカードとして認識しますが、どちらのカードで清算するかまでは判断できません。
そこで、どちらか利用するカードだけをかざすようにと「枚数超過」というメッセージを返してきます。 そして、ゲートは閉じたままという結果になります。
現在、首都圏では「Suica(スイカ)」と「PASMO(パスモ)」、関西では「ICOCA(イコカ)」」と「PiTaPa(ピタパ)」のそれぞれが相互利用可能なため上記のような干渉エラーが頻発し改札で困っておられる方が大勢います。
交通機関用のIC乗車券同士が混在すると当然エラーが発生しますが、最近では運転免許証やタスポなどの身分証明証も非接触ICカードに切り替わってきているため、これらのカードがサイフやパスケースに一緒に入っていることで干渉エラーが発生するケースも増えています。
本来なら規格が違うICカードが重なってもお互いに干渉はしないのですが、種類が増え、数が多くなると微妙に影響する場合もあるようです。個人のブログなどでもIC運転免許証とスイカが一緒に入っていてエラーが起こったり、あるいはタスポとパスモの組み合わせでエラーが起こったという記事を見かけます。
今後も、銀行のキャッシュカードをはじめ、公的身分証、企業の社員証ID、店舗のポイント・カードなどあらゆるカードが非接触ICカードに切り替えられ、干渉エラーを起こす可能性が高まる方向にあります。
| ||